失業保険を貰いながらアルバイトする方法!ポイントを整理

失業保険を受給しながらアルバイトで稼ぐことは認められています。ただしいくつかの条件を満たす必要があります。このページでは失業保険を貰いながらアルバイトする場合のポイントを整理します。

失業保険だけでは厳しい!アルバイトしても大丈夫?

失業保険とアルバイト

退職して無収入になった人のための失業保険ですが、その金額は現役時の45%~80%程度になってしまいます。さらに失業保険の手続き後に7日間の待機期間、自己都合退職の場合はさらにそこから3ヶ月間の給付制限が設けられるため、実際にお金が振り込まれるまでには4ヶ月程度かかることがあります。

失業保険で生活費の一部をまかなうことができても、長期化すると何かと支障をきたすこともあるでしょう。

そこで失業保険は、いくつかの条件を満たせば、失業保険の受給手続きを行った後でも、アルバイトで収入を得てもよいとされています。それでは早速その条件を見ていきましょう。



失業保険受給中にアルバイトをしてもよい4つのポイント

次の条件を満たせば、アルバイトをしても大丈夫です。

  • 7日間の待期期間中ではない
  • 給付制限中は定職についたとみなされない仕事をする
  • 受給期間中は雇用保険に加入しない仕事をする
  • 収アルバイトをしたらハローワークに報告する

以降ではそれぞれのポイントについて詳しく解説します。


1. 7日間の待機期間中ではない

待機期間とは、初めてハローワークに失業保険の手続きに行く日から、雇用保険受給者説明がある日までの7日間のことです。

待期期間の目的は、「会社を辞めた後すぐに就職せず、失業中であることを証明するため」です。失業保険を受給しようとする人は、退職理由に関わらず(自己都合退職でも、会社都合退職でも、特定受給資格者でも、特定理由離職者でも)、この7日間は仕事をしてはいけません。

ただし待機期間は、連続7日間でなくても良いとされています。仮に途中で仕事をした場合は、その仕事をした日は待期期間に含まれませんが、それ以外の日で合計7日間になれば、待期期間を終えたことになります。



2. 給付制限中は定職についたとみなされない仕事をする

自己都合退職した人の場合は、雇用保険受給者説明会を受けた日から3ヶ月間は失業保険が支給されません。このことを給付制限といいます。会社都合退職(特定受給資格者、特定理由離職者)については給付制限はありません。

この給付制限中は、失業保険を受給していない期間なので、アルバイト収入があることは問題ありません。

ただし気をつけなければならないことが1つあります。それはハローワークに「定職についた」と判断されないようにすることです。

アルバイトであっても長期間働くものについては、再就職したと判断されかねません。そうならないためには、短期間アルバイトであることを証明することが必要になります。

証明に必要なものとしては、アルバイト先と交わす「雇用契約書」や「雇入通知書」などが良いでしょう。これらに記載の雇用期間が、給付制限を超えていなければ大丈夫です。

なお、定職についたかどうか判断するハローワークは、その担当者によって解釈が異なるケースがあります。もし給付制限中にアルバイトをしようと考えているのであれば、まずはハローワークに相談し、その内容に従ったアルバイトを探しましょう。



3. 受給期間中は雇用保険に加入しない仕事をする

給付制限を無事に終えて、失業保険の受給期間に突入したら、今度は「雇用保険に加入しない仕事」であればOKです。

雇用保険に加入しない仕事は次のどちらかになります。

  • ・週20時間未満の仕事
  • ・契約期間が1ヶ月未満の仕事

この2つの条件をどちらも満たさないアルバイトをしてしまうと、雇用保険の加入義務を満たすことになり、自分の意思とは関係なくアルバイト先の会社は雇用保険の加入手続きを行ってしまうかもしれません。

雇用保険に加入してしまうと、「再就職した」とハローワークに判断されてしまい、失業保険が打ち切られてしまいます。

もちろんそのまま再就職し、失業保険をストップするということでも問題はありません。その場合は、再就職手当をもらうことができるかもしれません。しかし、引き続き失業保険を貰いながら求職活動を行うのであれば、アルバイト先での雇用保険の加入については十分注意しましょう。


4. アルバイトをしたらハローワークに報告する

月に一度の失業認定日では、直近1ヶ月の求職活動の報告と、その間アルバイトなどで収入を得た場合は、働いた日付や収入を報告しなくてはなりません。


失業認定報告書、アルバイト報告


失業認定申告書の上部、「1.失業の認定を受けようとする期間中に、就職、就労又は内職・手伝いをしましたか」という欄を、「ア した」に〇をします。

次に、カレンダーの働いた日に〇をします。

そして、「2.内職又は手伝いをして収入を得た人は、収入のあった日、その額(何日分か)などを記入してください。」の欄を記入します。

アルバイトをしたり、内職・手伝いなどで収入を得た場合は、必ず失業認定日に報告します。働いて収入を得たのに報告をしなかった場合は、最悪のケース、失業保険の不正受給とみなされ、重たいペナルティを課せられることがあります。十分気をつけてください。



アルバイトの勤務時間数は1日4時間が分かれめ!?

失業保険の受給期間中にアルバイトをする場合は、週20時間未満の労働でなくてなりません(上述)。さらにもう1つ注意すべきポイントがあります。それは、1日の労働時間数が4時間以上か、4時間未満かで失業保険の支給内容が変わってしまう点です。

4時間以上の場合は、基本日額は変わらないが、支給が先送りされる。

1日4時間以上で、週20時間未満のアルバイトをした場合、失業保険の基本日額はアルバイトをした日数分だけ支給されなくなりますが、後に繰り越され、最終の失業認定日後に支給されます。

4時間未満の場合は、基本日額が減額される可能性がある。

1日4時間未満で、週20時間未満のアルバイトをした場合、アルバイトした日数分の支給はされますが、人によっては失業保険の基本日額が減額される可能性が在ります。


アルバイトをすると失業保険が減額される?その金額は?

上述の通り、失業保険の受給期間中にアルバイトをした場合、その勤務時間数が1日4時間未満、かつ週20時間未満の場合は、失業保険の基本日額が減額される可能性があります。

減額されるかどうかは、次の計算で判定します。

基本手当 + 収入 > 賃金日額の80% の場合減額支給

収入 > 賃金日額の80% の場合不支給

賃金日額とは、退職日以前6ヶ月間の合計給料を180日で割った金額です。例えば、6ヶ月間の合計給料が126万円の場合、126万円÷180日=7,000円 これが賃金日額です。失業保険の給付率が70%だとすると基本手当日額は4,900円となります。

もし上の例の人が、1日4時間未満のアルバイトを1日行い、3,000円の収入を得た場合、次のようになります。

①基本手当4,900円+収入3,000円=7,900円 > 賃金日額7,000の80%=5,600円
②収入3,000円 > 賃金日額7,000円の80%=5,600円

①7,900円>5,600円は成立し、②3,000円>5,600円は不成立なので、この場合は減額支給の対象となります。

減額支給の対象となった場合、いったいいくら日額が減ってしまうのでしょうか? それは次の計算で求めます。

1日当たりの収入 - 控除額(1,289円) + 基本手当日額 - 賃金日額の80%

これを上の例に当てはめると、

3,000円 - 1,289円 + 4,900円 - 5,600円 = 1,011円

この1,011円が、アルバイトした1日分だけ基本手当日額から減額されます。



まとめ

失業保険をもらいながらアルバイト収入を得ることは制度上認められていることが分かりました。ただしアルバイトをする場合は気をつけなくてはならないポイントがあります。

  • 「定職についた」と見なされるアルバイトはNG
  • 雇用保険に加入すると「定職についた」と見なされる
  • 1日4時間以上のアルバイトは支給が先送りされる
  • 1日4時間未満のアルバイトは基本日額が減額されことがある
  • ハローワークに報告せずにアルバイトをすると不正受給になる

失業保険は再就職活動を促進するための生活支援金であるため、受給しながらアルバイトもする人については支給額を減額するなどの対応も仕方がないのかもしれません。

とはいえ失業保険だけでは生活が苦しいという人も多く、そのためにアルバイトが認められているという側面もあります。

まずはこのページでお伝えしたことをしっかり理解し正しい手続きを行い、失業保険の受給、アルバイトによる生活費の補てん、さらに求職活動を円滑的に進めていきましょう。

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