国民健康保険と任意継続はどちらがお得?保険料を比較しよう!

退職後に加入する健康保険、「国民健康保険」と「健康保険の任意継続」ではどちらの方が保険料はお得なのでしょうか?このページでは2つの保険制度の違いと、保険料の計算方法などから比較します。

シミュレーションサイトであなたの保険料を比較しよう

国民健康保険料と任意継続保険料を比較シミュレーション

「国民健康保険」と「健康保険任意継続(協会けんぽ)」の保険料を比較するために、まずはシミュレーションサイトを利用して、あなたの状況に沿った保険料を調べてみましょう。

以下でお住まいの都道府県を選択して計算スタートボタンを押すと、「国民健康保険料自動計算サイト」の市町村選択画面が開きます。後は手順に沿って年齢や収入などを入力すると保険料が計算できます。(※会員登録などは必要ありません)

お住まいの都道府県を選択

都道府県を選択したら計算スタートボタンを押してください。
https://5kuho.com/keisan/へリンクします。
※任意継続は協会けんぽの料率になります。



保険料比較の2つのポイント

国民健康保険と任意継続を比較するときのポイント

シミュレーションの結果はどうでしたか? 国民健康保険は自治体によって保険料が大きく異なるため、どちらの保険がお得になるかは住んでいる場所によって違ってくるのです。

保険料を比較する際は、次の2つのポイントが重要になります。

  • 独身なら月給27万円が分かれ目に
  • 扶養家族がいる場合は任意継続が有利に

1. 独身なら月給27万円が分かれ目に

月給27万円の場合、協会けんぽの任意継続標準報酬月額は28万円以上のカテゴリ―に入ります。協会けんぽでは標準報酬月額28万円が上限となるため、仮に在職中の給与がこれ以上あったとしても任意継続保険料はこれより高くなることはありません。

例えば、月給40万円で東京都世田谷区に住む30歳独身者の場合、協会けんぽ東京支部の任意継続保険料は27,748円となります(平成29年度)。月給がこれ以上高くても保険料は変わることはありません(※ただし40歳以上になると介護保険料が加算されます。)

一方の国民健康保険は、先ほどの例で試算すると保険料の月額は約27,000円となります。

国民健康保険は年収ベースで保険料を算定します。先ほどの例を引用して月給40万円×12ヶ月=年収480万円とします。世田谷区に住む30歳独身者の場合、年間保険料は約33万円となり12ヶ月で割ると約27,000円です。

任意継続と国民健康保険の保険料がちょうどこれぐらいの年収で拮抗することが分かります。

しかし、任意継続保険料はここが上限となるためこれ以上保険料が上がることはありませんが、国民健康保険の上限は年収1100万円くらい(世田谷区の場合)なので、それまでは上がり続けることになります。

世田谷区の場合、月額約6万円が保険料の上限となります(30歳の場合)。

国民健康保険料は地域差が大きいため一概にはいえませんが、独身者の場合は月給27万円前後を境に、それより高ければ任意継続の方がお得になると考えられます。


2. 扶養家族がいる場合は任意継続が有利に

先程のシミュレーションサイトで加入人数を追加すると、追加した分だけ国民健康保険料が高くなることがわかります(※上限はあります)。しかし一方で任意継続は家族が増えても保険料は変わりません(※扶養にするには条件があります)。

これは、国民健康保険と任意継続では「扶養」の扱い方が異なるからです。

国民健康保険には「扶養」という考え方がなく、1つの世帯に加入者が何人いるかによって保険料を計算します。加入する家族が多いと保険料が上がる仕組みです。一方の任意継続は「扶養」の条件を満たす親族であれば、加入者本人の保険料だけで被扶養者を追加することができます。

先ほどの例の条件を変えて、月給25万円(年収300万円)とすると、任意継続が約25,000円/月、国民健康保険が約16,000円/月となります。この時点では国民健康保険が割安ですが、ここに扶養家族を3名(妻30歳無職・子2名)を追加してみると、それぞれ約25,000円でほぼ同額になります。

さらに扶養家族(父親や母親など)を追加すれば国民健康保険料はその分上がります。しかし任意継続保険料は扶養家族の有無で保険料は変わりません。

つまり、被扶養者の条件を満たす家族がいるのであれば、任意継続の方がお得になる可能性が高くなるわけです。


保険料以外の基本的な内容を比較してみる

次に、2つの健康保険制度の基本的な内容を比較してみましょう。

※健康保険の任意継続(以降、任意継続)は、ここでは協会けんぽを例に解説します。それ以外の社会保険組合について詳しく知りたい場合は、それぞれの保険窓口に問い合わせてください。

国民健康保険 任意継続
手続き期日 退職後14日以内 退職後20日以内(厳守)
手続き場所 市区町村の役場 協会けんぽの都道府県支部
加入の条件 他の健康保険に属していない人 退職日以前に社会保険に継続して2ヶ月以上加入していた人
加入期間 他の健康保険に加入するまで 最大2年間
脱退の条件 他の健康保険に加入したとき
  • 加入してから2年が経過した

  • 就職などで、新たに社会保険に加入することになった

  • 後期高齢医療の資格を取得した

  • 保険料を期日までに納付しなかった

ポイントはピンク部分の「手続き期日」と「脱退の条件」の2点です。

1. 手続き期日の違い

手続き期日は、国民健康保険が14日以内、任意継続が20日以内となっています。重要なのは任意継続は期日厳守であるという点です。20日以内に手続きを行えない場合、どんな理由があっても受付を拒否されてしまいます。

一方、国民健康保険は14日以内となっていますが、実際は期日を過ぎても受け付けてくれます。ただし手続きが遅れると保険証が無い状態が長引きますのでそこは注意が必要です。

2. 脱退条件の違い

脱退の条件のポイントは、任意継続は「自分の意思で勝手に脱退できない」という点です。任意継続に一度加入したら、上の条件に該当しない限り脱退することはできません。例えば「国民健康保険の方が保険料がお得だから」とか、「家族の被扶養者になるから」という理由では脱退できません。

ただし任意継続の脱退についての条件で「保険料を期日までに納付しなかった」という項目があります。どうしても任意継続を脱退したい場合は、あえて期日までに保険料を納付しなければ即日脱退することができます(※支払いを遅らせても納付義務は残ります)。



まとめ

ここまで記事をお読みいただければ「どちらの保険がお得になるのか」について、大よその検討はつくと思います。

冒頭でご紹介したシミュレーションサイトは保険料の目安を算定してくれますが決定額ではありませんので、正確な金額が知りたい人はお住まいの自治体窓口で算出してもらいながら、その傍らで任意継続の保険料を調べる必要があります。

もしも、「退職してから20日が経とうとしている」「保険料を調べる時間がない」などの理由で健康保険の手続きを行っていない場合は、「とりあえず任意継続の手続きを行う」ことも選択肢の1つです。

任意継続の手続き期日は退職後20日以内を厳守しなくてなりませんが、もし手続き後に別の保険に加入したいと思った場合でも、上述した通り支払い遅延による脱退、そこから別の保険に切り替えることも可能だからです。

どちらの健康保険も決して安くない保険料を支払わなくてはなりません。切り替えの際は十分に比較検討することが重要です。

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